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人を大切にする経営~人が輝く組織をつくる100人の社長の物語:中島武宣さん~

2026年7月1日

人を生かし、流れをつくる経営

~ 大倭印刷株式会社 中島武宣社長 ~

奈良を拠点に60年以上続く「大倭(おおやまと)印刷株式会社」
地域企業を支える印刷会社として歩みながら、現在は看板制作やTシャツ・ユニフォームプリントなどへ
事業を広げています。

中島社長のお話を伺って感じたのは、この会社の本質は、紙に印刷することではなく、
「伝えたい想いを形にすること」にあるということでした。

名刺、チラシ、看板、Tシャツ、ジャケット、バッグ...
媒体は変わっても「伝える」という役割は変わらない。

だからこそ時代に合わせて柔軟に変化しながら、「人と人とのつながりを応援する」という姿勢で、
地域企業の課題を解決してこられました。

現在、特に力を入れているのが、Tシャツやジャンパー、トートバッグなどへのプリント事業です。
学校やPTA、地域イベントなど、既存のお客様との繋がりの中から新たな仕事が広がっているそうです。

「顧客を増やすより、今のお客様に提供できるものを増やす」

その言葉に、信頼関係を大切にする姿勢が表れていました。

🔳「何をやるかではなく、誰とやるか」

中島社長が生き方で大切にしていること。
それは「課題解決」「マッチング」だと言います。

お客様の困りごとを聞き、必要な人や情報を繋ぐ。
それは仕事だけではありません。

「弁護士を探している」
「物件を探している」

そんな話を聞けば、「あの人を紹介しようか」と自然に動く。

実際、Tシャツ制作の打ち合わせから、お店の物件探しに繋がったこともあったそうです。
その人の課題を見つけて、必要なことや人をマッチングする。
仕事は2~3割で、仕事と関係ないマッチングが多いとのことでした。

「何をやるかではなく、誰とやるか」

仕事そのものより、「誰と関わるか」を大切にしている。
だからこそ、人との信頼関係が自然に広がっているのだと感じました。

🔳自然から学んだ「生き方の軸」

中島社長は、自然から多くのことを学んできたと話されました。

虫は、生きるために生きている。
地球上の生物は、みんな生きるために存在している。
でも人間は、「こうあるべき」を作ってしまう。

この言葉がとても印象的でした。

社員が挨拶をしなくても、失敗をしても、でも「生きている」
そう考えるようになってから、「こうすべき」という思いが少しずつ薄れていったそうです。

人を無理に変えようとしない。
コントロールしようとしない。
自然の流れのように、それぞれが存在していることを認める

それが、中島社長の生き方の軸になっているのだと感じました。

また、野球の話をして下さったのですが、「一球で流れが変わる」ことがあると語られていました。
だから、自分のできることを惜しまないで、その時その時にできることをする。
自分と、課題と向き合うことの連続の中で、流れが来る。
人も組織も、その流れを感じながら整えていくことが大切なのだそうです。

🔳どん底を経験して学んだこと

今の穏やかな雰囲気からは想像できませんが、中島社長にも人との関わりのことで悩む時期があったそうです。

「会社を変えなければ」
「社員をやる気にさせなければ」
そう思って頑張っても、うまくいかない。

さらに、会社の調整役だった幹部社員の代わりに、自分が調整役をしないといけなくなり、
トライし続けたのですが、うまくいかない。

「自分は世界一できない人間だと思っていた」
それほど追い込まれたと言います。

自分一人で何とかしなければと思っていた中島社長は、「無理だった」と周囲に話し始めます。
すると返ってきたのは、
「そこまで考えているのがすごい」
「ちゃんと伝わっているよ」
という、自分の想像とは違う承認でした。

そこで初めて、「人をやる気にさせる方法は、言葉だけではない」ことを実感したそうです。

🔳人を生かす経営と会社の課題

以前は「社長らしくしなければ」という意識もあったそうですが、
今は社員からいじられることも受け入れ、自分から場を和ませるようにしているとのこと。
すると社員が少しずつ本音を言えるようになり、職場に安心感が生まれていったそうです。

現在の課題は、若手営業社員の成長と組織力の強化だそうです。

印刷や看板の仕事は、ただ商品を売るだけではありません。
お客様の想いを聞き取り、形にし、可視化する力が必要です。
だからこそ、想像力、ディレクション力、コミュニケーション力が求められる。

そんなことが求められる営業社員を、一人ひとりよく観察されています。
成長を見守るときには相手のタイプによって距離感や関わり方を変え、無理に変えようとはしない。
しんどそうな社員には、無理に問い詰めるのではなく、言葉をかけるのでもなく、そっとお菓子を置いておく。

それは、言葉ではない励ましであり、成長への期待を込めた行為です。

会社の課題を伺うと、他にも60年続いてきた会社には色々と壊したいものがあるそうです。
でも、自分の想い通りにならないから壊すというのは好きではない。

「壊すのは簡単。でも、人を生かしたい」

その言葉に、中島社長の優しさが表れていました。

今後は、事業計画や評価制度などを整え、より納得感のある組織づくりを進めていきたいとも語られていました。


中島社長のお話を伺って感じたのは、
経営とは「人を動かすこと」ではなく、「人が安心して存在できる場をつくること」
なのだということです。

無理に変えようとしない。
押しつけない。
でも、しっかり見ている。
そして、人を信じ、流れを整える。

大倭印刷株式会社は、単なる印刷会社ではなく、

「人と人を繋ぎ、想いを形にする会社」

なのだと感じました。

中島武宣さん
(大倭印刷株式会社 代表取締役)